2011年3月29日

第1回「雑誌大賞」に新潮社『考える人』

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「この一冊は凄かった」をキャッチコピーに、合計100誌の編集長と100人の書店員による投票で優秀雑誌を選出する「第1回 雑誌大賞」が28日発表され、大賞に『考える人』(新潮社/2010年夏号)が受賞しました。
受賞した2010年夏号では『1Q84』、『ノルウェイの森』、『海辺のカフカ』などで有名な作家・村上春樹氏と編集者の徹底した対話・インタビューを収録していました。
1冊すべてを同氏とのインタビューに費やしたインパクト・コンテンツ力の高さが決定打となったようです。

今回はウェブ媒体・電子書籍の台頭するなかで、雑誌媒体の生き残る術を考えます。
まず、雑誌大賞の主旨についてですが、個人でも簡単に情報発信ができるようになった昨今、情報を獲得する手段は紙媒体より手軽なウェブや電子書籍などに移りつつあります。
そこで雑誌大賞では、情報収集・編集のプロ集団だからこそできる「目利き力」「コンテンツ創造力」をクローズアップし、改めて雑誌ならではの魅力を伝えることを目的に、今年初めて開催されました。
また、選考委員にも雑誌編集長・書店員を採用し、よりプロの目線により賞の選考を行いました。

そんななかでグランプリを受賞したのが、人気作家の村上春樹氏のロングインタビューをまるまる1冊分掲載した『考える人』です。
『考える人』は2002年7月より年に4回刊行されている季刊誌です。
モットーは「Plain living, High thinking. シンプルな暮らし、自分の頭で考える力」。
毎回1つのテーマを特集しており、その他には評論・エッセイ・小説などを連載しています。

受賞した号では、世界的に注目を集め、しかもほとんどインタビューに応じないことで知られる作家を相手に、作家と編集者が2泊3日泊り込んで徹底的に対話し、他メディアでは引き出すことができない肉薄したインタビューをを掲載したことが高評価につながりました。
また、「編集者と作家のあるべき付き合い方をこの1冊から改めて考えさせられた」というような声も複数あり、文芸誌のパワーを存分に発揮した1冊となりました。

最新号では、「紀行文学を読もう」と題し、作家・池澤夏樹氏のロングインタビューを掲載しています。

雑誌大賞の準グランプリには『週刊東洋経済(東洋経済新報社/9/18号)』が受賞。
こちらの号では「非ネイティブの英語術 1500字だけで話せる!」というトピックを掲載。
楽天・三木谷氏が「社内公用語を英語にする」などの発言をして、世間の英語に対する必要性が高まったことなどから注目を集め、おもに書店員の票を多く獲得しました。

特別賞には『BRUTUS(マガジンハウス)』。
ベスト10にはランクインしなかったものの、審査対象期間内に刊行された多くの特集が安定的に票を集め(12号中10号が得票)、雑誌単位では最も多くの票を獲得しました。
つねに時代の一歩先を独自の視点から読み解く特集内容が、多くの選考員の支持を集めました。

速報性では電子媒体には圧倒的に劣る雑誌。
しかし受賞した雑誌をはじめ、雑誌でしか表現できない質の高い情報を提供することができれば、まだまだ生き残っていける術はあると感じました。
今後の雑誌のコンテンツ力に、期待したいですね。


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