2011年3月16日

崖っぷちから立ち直った豆腐屋の話

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家業の零細豆腐店を継いで12年。「いい豆腐を高価格」で売上高を50倍に伸ばしたの4代目社長、石川伸さんという人がいます。

ちょうどバブルがはじけた頃、20代後半で家業を継ぎ、翌年には5千万円もの借金をして生産設備を増強したが売り上げ不振に。
そんな潰れそうな豆腐屋を建て直し、有名なお店にまでした実話を紹介しましょう。
石川社長が最初に行ったことは、1丁50円の豆腐を提案して回りました。
地元のスーパーもちょうど大型店に対抗する特徴ある商材を欲しがっていたので「ちょっとだけなら置いてあげよう」と申し出てくれました。

最初は豆腐コーナーの片隅にちょこんと置かれていましたがこれが売れました。晩酌の席でこの豆腐を夫が褒めると、喜んだ妻が固定客になったのです。
並行して小学校に出かけてボランティアで豆腐作りを子供に教えました。
「本物の味」を知った子供は母親に「石川の豆腐」をねだり、母親にも作り方を教えまたリピーターが増えました。

どうしてそんなアイデアが生まれたのでしょうか。
孫子の兵法では追い詰められた場所を「死地」と呼びます。死地では策をろうする余裕はなく、力の限り戦うしかありません。このときリーダーは、もう生き延びられないことを兵士たちに具体的に示すことが必要になります。

たとえば、食事用のかまどを打ち壊したり、人が食べる食糧を馬に食べさせたり、逃げ道があったらわざとふさいだり......そして「どうせ死ぬのなら、さすが日本男児、あっぱれと言われるように見事に散ろうではないか」と叫び、戦意を高揚させます。
すると兵士たちが文字通り「必死」の戦いをするように導きます。
どうしてこのように追い詰めるのでしょうか。
それは、追い詰められたときこそ、人間は通常では考えられないパワーを発揮し、万に一つの生き残れる可能性が生まれるからです。

石川さんも、そのような心境にあったでしょう。
4代続いた家業を自分の代でつぶしてしまうかもしれないという恐怖が襲ってきたことと思います。
このような場合、往々にして行動渋滞に陥り、自滅していくことが多いものですが、石川さんは違いました。

自分の子供に食べさせたくなる豆腐を作ろうと思いたったわけですが、これは消費者の立場からの発想ですね。
追い詰められた石川さんは、観点をメーカー側から消費者側に180度転換したわけです。

それからの石川さんは、ことごとく消費者側の発想で商品開発を進めました。
1丁50円の豆腐、小学校での豆腐作りボランティア、消費者の「高くても良いモノを」という声に合わせた豆腐作り......廃業を勧められ、捨て身で行った作戦がみごとに的中しました。

なんとかうまくやって生き延びようと思うと迷いが生じると行動が鈍りますが、もうこれでダメだったらあきらめようと腹をくくると戦略が明確になって行動を積み重ねることができ、発展につながります。
もし、あなたが同じような立場に陥った時、この話を思い出してください。
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